大動脈疾患

大動脈瘤

Crawford分類

Ⅰ型:近位胸部大動脈から始まり腎動脈上で終わる
Ⅱ型:近位胸部大動脈から始まり腎動脈下で終わる
Ⅲ型:遠位下行動脈から始まる
Ⅳ型:腹部大動脈のほとんどを巻き込んでいる

大動脈解離

分類

Stanford分類
A型:上行大動脈に解離が存在
B型:胸部下行大動脈に解離が限局

DeBakey分類
Ⅰ型:上行大動脈から解離が始まり下行大動脈に至る
Ⅱ型:解離が上行大動脈に限局
ⅢA型:解離が左鎖骨下動脈より末梢から始まり胸部にのみ限局
ⅢB型:解離が左鎖骨下動脈より末梢から始まり腹部大動脈まで進展

心エコー評価

  1. 解離起始部の確認
  2. バルサルバ洞1-3cm上の上行大動脈(70%)→ ME AV long axis
    動脈管近位の下行大動脈(20~30%)→ UE aortic arch long axis(左鎖骨下動脈からの距離を確認)

  3. エントリー部
  4. フラップの連続性が途絶している部位
    第一エントリー部位を切除することで再手術や合併症の頻度を減少させることができる

  5. 真腔と偽腔
  6. 真腔は収縮期拡大し拡張期小さくなる
    真腔は薄く低輝度の内膜を有するが、偽腔は大動脈内腔に接して高輝度の層がある
    通常、偽腔は真腔よりも大きい
    カラードプラでは真腔には収縮期順行性血流がみられ、偽腔には複雑な血流が流れる

  7. 偽腔内血栓
  8. 内膜フラップ大動脈から分離した真腔・偽腔の中にあるmassとして認められる
    15mmを超える大動脈壁肥厚は解離の所見であり、偽腔の血栓を示唆する

合併症

  1. 大動脈弁逆流
  2. 近位解離の50~70%、下行大動脈解離の10%に合併

  3. 冠動脈への波及
  4. 急性大動脈解離の10~20%に認められ、同程度の症例で局所壁運動障害がみられる
    右冠動脈のほうが影響をうけやすい

  5. 心タンポナーデ
  6. 大動脈基部で解離部分の外膜が破れて大動脈壁破裂し、心タンポナーデを発症することがある
    破裂がない場合でも、偽腔壁から心膜腔に液体が滲出し心膜液貯留が起こることがある

  7. 大動脈分枝の解離
  8. 脳虚血、腸管虚血などを引き起こすことがある

大動脈プラーク

胸部大動脈の部位

Zone1:近位上行大動脈、大動脈弁置換術で切開する部分
Zone2:中部上行大動脈、順行性心筋保護カニュレーションをする部位、冠動脈バイパスの中枢吻合部
Zone3:遠位上行大動脈、大動脈遮断をする部分
Zone4:近位弓部、大動脈カニューレ操作を行う部分
Zone5:遠位弓部
Zone6:近位下行大動脈、IABPの上端

大動脈プラークのgrading

Grade4・5のプラークが存在すると、脳卒中、心臓イベントのリスクが上昇
→深低体温下循環停止やoff-pumpでの手術、カニュレーション・バイパス部位変更を検討

大動脈壁内血腫

・壁内血腫は交通のない大動脈解離
・1年以内に60%の患者で解離・破裂に進展
・全周性または三日月形の大動脈肥厚(7mm以上)、内膜石灰化の内側への偏移、長軸方向に1~20cm進展、層状の様相、内膜フラップの欠如が特徴

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