大動脈弁疾患(2)

大動脈弁狭窄症

病因と病態生理

・粥状硬化性変性、二尖弁、リウマチ性疾患など
・大動脈弁狭窄により後負荷が増大するため求心性心肥大によって代償する。左室コンプライアンスは低下し、より高い前負荷が必要となるため左心房圧が上昇する

重症度評価

    軽度中等症重症
    最大流速(m/s)< 3.03.0 ~ 4.0> 4.0
    平均圧格差(mmHg)< 25> 40
    大動脈弁口面積(cm2)> 1.51.5 ~ 1.0< 1.0

  1. 圧較差評価
  2. 大動脈弁血流速度Vmax(m/sec)を測定し、ベルヌーイの式から圧較差を測定する
    圧較差(mmHg)= 4 x Vmax2
    また、平均圧較差は2.4 x (Vmax)2で求められ、観血的に測定した圧較差とよく相関する

    • 心エコーと心カテの圧較差
    • 心エコーの圧較差:左室・大動脈間の瞬間最大流速
      心カテの圧較差:最大左心圧と最大大動脈圧の圧較差
      → 心エコーの圧較差 > 心カテの圧較差

    • 測定時の注意
    • LVOT血流速度 > 1.5 m/sの場合(高度ARや高心拍出)、大動脈弁圧較差を過大評価する可能性がある
      左室駆出力が低下している場合、圧較差が低くても高度狭窄の可能性がある

  3. 弁口面積評価
    • プラニメトリー法
    • ME AV short-axisで面積を直接測定する

      [欠点]
      ゲインの設定が低いと弁口面積を過小評価、設定が高いと弁口面積を過大評価してしまう
      石灰化が著名な場合には正確に測定できない

    • 連続の式による測定
    • パルスドプラを用いて大動脈弁と左室流出路で速度測定し、TVIを求める

       AVA = AreaLVOT x TVILVOT / TVI AV

    • Deep TG long axisのdouble envelope法
    • 輝度の高い遅い流速の部分はLVOTにおける血流を表し、輝度の低い速い流速の部分はAVにおける血流を表す。このviewではLVOTとAVの時間速度積分値(TVI)を同時に測定できる
      LVOT面積を測定する際に、半径は大動脈弁付着部で測定する


心駆出力低下時の評価

  1. ドブタミン負荷テスト
  2. 低用量ドブタミン(通常5 ~ 10γ)を使用してドプラパラメータを測定
    → 弁口面積が変化せずに心拍出量と圧較差が増大する場合には高度な弁狭窄が疑われる
      心拍出量の増大とともに弁口面積が増大する場合には狭窄よりも心筋の疾患が疑われる

  3. 無次元指数
  4. 左室駆出力が低下している場合、左室流出路TVI / 大動脈弁TVI比率、または左室流出路ピーク流速 / 大動脈弁ピーク流速比率を狭窄症の重症度評価に用いることができる
    人工弁置換後で弁輪径が計測できない場合にも使用される

    左室流出路TVI / 大動脈弁TVI < 0.25の場合に重症狭窄と判断


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